友より

梅、じゃがいもなど夏野菜、仙台一という高級魚の粕漬けがそれぞれ別々の地方に暮らす友人から届いた。

梅は梅雨前に。7キロも入っていたが、ひとつとして傷や虫喰い跡のないものはない。つまり全部売り物にはない代物だった。だが、自家製梅干しはこういう梅で作っているのだろう。農薬も、消毒もせずに梅を育てているのだ。ありがたくいただく。

 汚れや傷んだ部分を、包丁で取り除き、青梅はシロップ、ジャムに。熟させてから塩漬けにした。

 じゃがいもと夏野菜は、独身の友Tが両親亡き後、畑を守り、栽培しているもの。南側にアパートが建てられたので、日当たりが悪くなってしまったそうだが、良い出来のものばかりを選んで送ってくれたようだ。涙が出る。

 Tとは、高校時代に知り合った。

 この高校は理数科に力を入れていて、数学研究室という壁が黒板でできている部屋があった。数学の先生が、生徒ひとりひとりに問題集の1問を指名、次回始まる前に板書しておけと言うのだった。不思議なことに、私以外は皆正解を板書した。みんな賢いのだなあ、できるなあ、と感心したが、それは教科書ガイドという本を使って見たままを書き写していいるからだった。と、後になってわかった。

 ponsyaraは、馬鹿正直というか意地っ張りと言うか、武士の娘というか。どの教科もガイドを買わず自分で解いていた。

Tは、これを真似するのだった。しかし、・・・。彼女は、ponsyaraに教えてくれ、という。頼まれて嫌と言えない、pon姐御。図書館の参考書を見て、同じような問題の解き方を探った。そして、彼女に教えたのだった。結果、ponは、その御礼に40年以上野菜などをもらい続けている。

 だが、しかし。突き放して自分でやりなさい。できなければ、恥をかきなさいといえば良かったのかもしれない。当然Tは、成績が下がった。一方、ponの数学の成績は上がることとなった。

 魚の粕漬けを、いただく。塩竈製だ。回答してから遠火の弱火でゆっくり焼くと、イカもメヌケもマダラも、とろけるようなうまさ。

 たのしみは まれにウオにて 子等皆と うましうましと いひてくうとき

                      橘曙覧 独楽吟より

 ありがたいありがたい。これは、わたくし新聞を読んでいるので、そのお礼だとい

う。