ponsyaraの読書日記
『テスカポリトカ』 佐藤 究著 2021年刊 角川書店 ★★★★★
これは、怖い!
メキシコの麻薬密売組織の抗争を描いたのかと思っていたら、今から500年前に滅ぼされたアステカの神テスカトリポカが、現代の川崎に蘇えったお話だった。
昨年の直木賞受賞作。貧困ゆえ、話題のときはじっと耐えて、図書館で自分の順番になるまで待っていて読んだ。
復讐に次ぐ復讐。あまりに酷たらしい殺害場面が描かれるが、読後に佐藤のインタビュー記事を読んだら、実際は、もっと恐ろしいのだという。
アステカ文明について、私も学んでみたくなった。返却日までに再読しようと思う。
読んでいる途中で、展開を推理していたが、自分の予想が当たった。犯罪を描いているが、「救い」もあった。
コシモのことをただひとり、愛して心配してくれた男がいた。
最後の場面は、涙がこぼれた。